<ドイツの名画>
『メトロポリス』 Metropolis
1926年 独 ウーファ社作品 85分
監督/フリッツ・ラング 脚本/テア・フォン・ハルボウ
出演/アルフレート・アベル、ブリギッテ・ヘルム
映画史に燦然と輝く、百年後の大都市を描いた空想科学映画。SF映画の父フリッツ・ラング渾身の作。機械文明や階級社会、人間の意識への風刺が鋭い。
『カリガリ博士』 Der Cabinets Dr.Caligari
1919年 独 デクラ=ビオスコープ作品 50分版
監督/ロベルト・ヴィーネ
出演/ヴェルナー・クラウス
表現派映画の先駆。第一次大戦後のドイツ映画を世界的にした歴史的作品。
『吸血鬼ノスフェラトゥ』 Nosferatu Ein Symphonie Des Glauens
1922年 独 プラナ社作品 63分
監督/F・W・ムルナウ
出演/マクス・シュレック、アレクサンダ-・グラナッハ
巨匠F・W・ムルナウによる、恐怖映画の定番、吸血鬼伝説の元祖といえる作品。ブレーメンに住む不動産業者のハ-カーは仕事でトランシルバニアのドラキュラ伯爵の古城へ行く事に。しかしそこで次々に奇怪な事件が…。無気味な雰囲気の中にロマンが漂う作品。
『嘆きの天使』 Der Blaue Engel
1930年 独 ウーファ社作品 無字幕版トーキー 107分
監督/ジョセフ・フォン・スタンバーグ
出演/マレーネ・ディートリッヒ、エミール・ヤニングス
スタンバーグが無名のディートリッヒを主役に起用し、世界的大スターにした作品。ディートリッヒの愛くるしい微笑みと美しい肢体、刺激的なエロティシズムに観客も魅了されていくこの「天使」に魅せられ、実直な教師から道化へと朽ちて行く哀れな男をドイツ一の名優エミール・ヤニングスが好演している。
<ニーベルンゲンの歌 Nibelungen>
第一部 『ジークフリート』SIEGFRIED
第二部 『クリームヒルトの復讐』 Kriemhilde’s Revenge
1924年 独 ウーファ=デクラ=ビオスコープ作品
脚本/テア・フォン・ハルボウ
監督/フリッツ・ラング
撮影/カール・ホフマン、ギュンター・リッタウ
出演/パウル・リヒター、マルガレーテ・シェーン、ハンナ・ラルフ、ゲルトルート・アルノルト
ゲルマン民族の間に古くから伝わる一大民族叙事詩「ニーベルンゲンの歌」を第一部『ジークフリート』、第二部 『クリームヒルトの復讐』として二年近い歳月をかけて製作されたドイツ映画史上に燦然と輝く大作。名匠フリッツ・ラングが夫人となったハルボウの脚本を得、世界に名だたるドイツ映画を支えていた優秀なスタッフの協力の元、見事な詩的映像美を完成させた。主演パウル・リヒターは『ドクトル・マブゼ』に続いてのラング作品であり、彼の百本近い出演作品の中でも代表作。大正14年度キネマ旬報ベスト・テン芸術的優秀映画の部第四位
『巨人ゴーレム』
1920年 ドイツ 63分
監督/パウル・ヴェゲナー、カール・ボエゼ
出演/パウル・ヴェゲナー、アルベルト・スタインリュック、エルンスト・ドイッチュ、リディア・サルモア
中世、最も奇怪と豪奢を極めた都プラーグ(プラハ)を舞台に、ユダヤ寺院で発見された粘土の巨人像が古えの呪文によって命を吹き返し、自らの意志を持ち始める。古城内のゲットーには虐げられたユダヤ人たちが幽閉されていて…。第一次大戦敗戦後のドイツで大いに支持された一作。ドイツの名優パウル・ヴェゲナーが主演、共同脚本、監督も務めている。特撮映画、ホラー映画の先駆けとしても名高い。
『パンドラの箱』 Die Büchse der Pandora
1929年 独 132分
監督/ G・W・パプスト監督 原作/フランク・ヴェデキント
出演/ルイーズ・ブルックス、カール・ゲーツ、フリッツ・コルトナー、フランツ・レデラー
戦前のドイツ映画を代表する監督の一人であるG・W・パプストが当時ドイツでセンセーショナルな話題を博していたヴェデキント原作の戯曲、「地霊」とその続編「パンドラの箱」を映画化した作品。“魔性の女ルル”を演じるルイーズ・ブルックスの、無邪気で子どものように無垢で奔放な存在感が、この作品を独特の魅力あるものにしている。
『モンブランの嵐』 Sturme Uber dem Montblanc
1930年 独 ウーファ社作品 無声縮刷版 24分
監督/アーノルド・ファンク
出演/レニ・リーフェンシュタール、ゼップ・リスト
アルプスの最高峰モンブランを舞台にした恋と冒険の物語。山岳映画の巨匠アーノルド・ファンクの初期作品。100歳まで新作映画を撮り続けたレニ・リーフェンシュタールの若き日の姿が、美しい映像とともに蘇る。
<旧ソ連の名画>
『戦艦ポチョムキン』
1925年 ソ連作品 55分
監督/セルゲイ・エイゼンシュテイン
出演/アレクサンドル・アントノーフ、グレゴーリ・アレクサンドロフ
第一次ロシア革命の出来事「水兵反乱事件」の史実をもとに描かれたエイゼンシュテインの作品。モンタージュ等の手法を確立したロシア映画史上の最高傑作
『十月』
1928年 ソビエト連邦 101分
監督: セルゲイ・エイゼンシュテイン、 グリゴリー・アレクサンドロフ
原作者: ジョン・リード
『戦艦ポチョムキン』でも著名なロシアの巨匠セルゲイ・M・エイゼンシュテインが、ソビエト革命十周年記念映画として製作した作品。『戦艦ポチョムキン』『ストライキ』とともに革命三部作として知られ、エイゼンシュテイン独自のモンタージュ手法で、一九一七年の三月から十一月までの激動するソビエトを再現している。この作品には、実際にレーニン率いるボリシェヴィキが権力を掌握した10月革命で蜂起した人々が多く参加しており、エイゼンシュテインの天才的な映像技術とともにそのリアリズムは際だっている
『アエリータ』
1924年 ソ連 [製作]メジラブポム 84分
監督/ヤーコフ・プロタザーノフ 原作/アレクセイ・トルストイ
脚本/アレクセイ・ファイコ、フェオドール・オッエップ
文豪、アレクセイ・トルストイの原作を映画化したソ連初のSF映画。
ロケット設計に没頭する若い技師・ローシは、煩わしい地球での生活から逃げ出すように火星に向かって飛び立つのだが…。
ロシア・アヴァンギャルドに支えられた美術と衣裳が全編を彩る。
<フランスの名画>
『眠るパリ』 Paris qui Dort
1923年 仏 フィルム・ディアマン作品 39分
監督・脚本/ルネ・クレール
出演/アンリ・ロラン、マドリーヌ・ロドリグ、アルベール・プレジャン
フランスの代表的な監督ルネ・クレールの第一回監督作品。喜劇味と風刺を散りばめたSFファンタジー。
『イタリアの麦藁帽子』Un chapeau de paille d’Italie
1927年 フランス 73分
監督/ルネ・クレール
出演/アルベール・プレジャン、オルガ・チェホヴァ、マリーズ・マヤ、アリス・ティソ
結婚式の当日、馬車で式に向かう新郎は、途中、とある貴婦人の麦藁帽子をダメにしてしまう。貴婦人と逢引中だった浮気相手の将校は激昂し今すぐに弁償せよと新郎に迫る。結婚式か?帽子の弁償か?花婿はこの窮地から脱出できるのか…!?抱腹絶倒!ルネ・クレールのエスプリの効いたドタバタラブコメディ。
『月世界旅行』 Le Voyage dans la Lune
1902年 仏 スターフィルム作品 10分
監督・主演/ジョルジュ・メリエス
巨大なロケットで月に到着した一行が月世界人と格闘。数々のトリック撮影、豊かなイマジネーションで空想科学映画の祖といわれる。
『極地征服』 A la conquete du Pole
1912年 仏 スターフィルム作品 8分
監督・主演/ジョルジュ・メリエス
トリック映画の祖、メリエスが描く不思議な北極探検の旅。
『雪の騎士』 La chevalier des neights
1912年 仏 スターフィルム作品 19分
監督/ジョルジュ・メリエス
黒騎士にさらわれた婚約者を取り戻しに旅立つ雪の騎士の物語。
『ジゴマ』 Zigomar
1911年 仏 エクレール社作品 54分
監督/ヴィクトラン・ジャッセ
連続活劇映画流行の端緒を開いた大ヒット作品。神出鬼没、変幻自在な大悪漢、怪盗ジゴマと、探偵との闘いをスリリングに見せていく。公開当時は日本でも子どもたちを熱狂させジゴマをまねた犯罪が増えたことから上映中止になったほど。
『リュミエールの実写集』
1895年~ 仏 14分
リュミエール兄弟の発明した映画が、1895年12月23日、パリのグラン・カフェの地下で初めて一般公開された。それから彼らは映写技師を世界各地に派遣してシネマトグラフを広めつつ、各地の映像を実写させた。その記録を集めた実写集。
<イタリアの映画>
『復讐の紅薔薇』 La Nave (封切邦題『シップ』)
1920年 伊 ザノッタ=アンブロジオ作品 60分
原作/ガブリエーレ・ダヌンツィオ
監督/ガブリエッリーノ・ダヌンツィオ
出演/イダ・ルビンシュタイン、アルフレード・ボッコリーニ
6世紀半ばの水の都ヴェネチア。陰謀によって一家を陥落させられてしまった美女が復讐を誓い、権力に立ち向かう。
『アッスンタ・スピーナ』 Assunta Spina (『ナポリの恋』)
1915年 伊 カエサル・フィルム作品 47分
原案/サルヴァトーレ・ディ・ジャコモ 監督/グスタヴォ・セレーナ
出演/フランチェスカ・ベルティーニ、グスタヴォ・セレーナ
イタリア映画が世界を席巻していた頃、最初のディーヴァ(人気女優)として世界中で絶大な人気を誇ったフランチェスカ・ベルティーニ主演の話題作。ナポリの娘の情愛と薄幸を描いた、ヴェリズモ(真実主義)映画の代表作。非常にイタリアらしい作品。
『パルシファル(照魔鏡)』
1912年 イタリア 20分
監督/マリオ・カゼリーニ
巧みなトリック技法を交え、聖杯伝説上の騎士パルシファルの活躍を描いた作品。
<デンマークの映画>
『ズィゴ 催眠鬼X(ズィゴ)』 Zigo
1914年 デンマーク ダンマーク作品 13分
監督/カン・ヴァン・デァ・オー・クーレ
出演/エミーリエ・サンノム、ラスムス・オッテセン
催眠術を操るジプシーをテーマにした、無声映画黄金期のデンマーク映画